家庭裁判所で、子どもと父親あるいは母親との試行的面会交流が行われる場合、プレイルームが利用されます。プレイルームは家庭裁判所内にある部屋の一つで、部屋の中には、絵本、箱庭、クレヨン、スケッチブック、ぬいぐるみやゲームといったおもちゃが備え付けられています。また、マジックミラーが設置されており、親子の交流場面を隣室から観察することができます。おもちゃがあれば、子どもたちは遊ぶことはできます。しかし、プレイルームは壁も天井も白く、窓がない場合もあります。壁に小さな絵が掛けてあることもありますが、それでも暖かい雰囲気はいえません。子どもが緊張することなく、明るい気持ちで過ごせるように、壁全体に明るい色を塗るとか、壁に絵を描くとか、天井に星のシールを貼るなどの工夫をしてもよいのではと思うことがあります。
2016年2月に米国・ロサンゼルスで警察署内にある子どものための部屋を見せていただいたことがありますが、壁や天井全体に絵が描かれていて(ディズニーキャラクターのニモだった記憶です)、可愛らしく設えられていました。また、2019年9月に訪問したドイツ・ベルリンの家庭裁判所には、裁判所の建物とは別に、裁判官が子どもの様子を観察したり、子どもの意見を聞くための「子どもの家」がありました。たくさんの窓があり、窓からはたくさんの木々が見え、建物内にはピンクや緑のカラフルな机、椅子やソファ、観葉植物がいくつも置かれ、天井や壁には「ひつじのショーン」などのモビールが飾り付けられており、人形、ぬいぐるみ、ゲーム、絵本、ブロック、船やヘリコプターの玩具など、所狭しとおもちゃが置かれていました。
最近では、2023年11月に韓国・光州の家庭裁判所を訪問し、家庭裁判所内にある面会交流センターのプレイルームを見せていただきました。マジックミラーが設置されており、親子の交流場面を隣室から観察することができるのは日本の家庭裁判所と同じでした。しかし、プレイルームには明るい光が差し込む窓が2つあり、様々なおもちゃのほかに、子どもが乗って遊べる大きな動物の人形がいくつもあり、ゆったりとした机とソファ、大きな木製の滑り台もありました。家具もおもちゃも全体的に木製で、壁には可愛らしい飾り棚があり、全体として暖かい雰囲気が醸し出されていました。また、マジックミラーからプレイルームを観察する隣室に、ティーセットが用意されていたことが印象に残りました。交流する親子に楽しく遊んでもらうとともに、交流を観察する親にもリラックスして過ごしてもらうための配慮なのでしょう。親子を見守る、親子を支えるということは、こういうことなのではないかと思いました。