私たちにとっては今さらの話ですが、必ずしも一般に広く知られているとはいえないので、名古屋にある4つの裁判所について書きたいと思います。私たちは名古屋市に事務所を構えており、多くの裁判は名古屋地方裁判所(地裁)、名古屋家庭裁判所(家裁)、名古屋高等裁判所(高裁)、名古屋簡易裁判所(簡裁)という4つの裁判所が最寄りの裁判所となります。
名古屋市中区三の丸には裁判所の建物が4つあります。建物の高さは、北から南にいくにつれ、12階建、7階建、5階建、3階建とだんだん低くなります。この4つの建物が高裁、地裁、家裁、簡裁に対応しているかと言われれば、そうではありません。一番大きい12階建に名古屋高裁と名古屋地裁が、次に大きい7階建に名古屋家裁と名古屋簡裁が、5階建に名古屋地裁の破産・保全・執行等の係が、3階建には名古屋簡裁の調停係が入っています。
弁護士にとって一番馴染みがあるのは地裁です。紛争の対象が140万円を超える民事事件、大半の刑事事件の第一審が地裁にかかります。裁判員裁判もここで開かれます。名古屋地裁の場合、民事部が10、刑事部が6あり、それぞれの部に裁判官が4、5人程度所属しています。地方裁判所は弁護士が毎日のように出入りする所です。
次に家庭裁判所も頻繁に出入りする所です。家庭裁判所には離婚・相続等の家事事件を扱う家事部と少年事件(未成年者の刑事事件)を扱う少年部があります。取り扱う事件の性質も関係しているのでしょうか、名古屋地裁と名古屋高裁が入っている12階建の建物に比べ、名古屋家裁が入っている建物は、エントランスから比較的柔らかい雰囲気が漂っています。
地裁と家裁で決着がつかず控訴された事件は高裁にかかります。名古屋高裁は12階建の建物の9階以上にあります。上級の裁判所だからでしょうか、名古屋地裁より上のフロアにあります。ちなみに、7階建の建物には名古屋家裁と名古屋簡裁が入っていますが、家裁のほうが簡裁より上級の裁判所だからでしょうか、やはり名古屋家裁のほうが上のフロアにあります。
簡裁は、民事事件のうち紛争の対象が140万円以下の事件、刑事事件の比較的軽微な事件を取り扱います。比較的小さな事件が多く、弁護士に依頼する費用対効果があまり良くないせいか、弁護士にとって簡裁は地裁ほど馴染みはありません。7階建の下のフロアにある名古屋簡裁に行くと、代理人を付けない本人訴訟が目立ちます。
名古屋の4つの裁判所は、私たちの事務所からわずか徒歩10分圏内にあります。最近は最寄りの裁判所から離れた場所に事務所を構える弁護士も増えましたが、裁判所と事務所を頻繁に往復するタイプの弁護士にとっては、なかなか裁判所から離れることはできないのが実情だと思います。
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