京都大学のキャンパスに私服警察官が無断で立ち入ったところ、学生らに取り押さえられる騒ぎがありました。当時、キャンパス内では、2日前、デモ行進をした京都大学の学生が公務執行妨害で逮捕されたことに対する抗議活動が行われていました。
報道によると、この警察官は、約3時間にわたって副学長らと話し合った後、大学から退去させられたそうです。警察官が大勢の学生に取り囲まれて追及されている映像が流れていましたが、これだけを切り取ると、まるで学生が警察官に対し一方的に乱暴を働いているように見えます。警察は、逮捕・監禁事件として捜査するとのことです。
しかし、大学と警察との間には、警察官がキャンパス内に立ち入るときは大学側に事前通告するという協定がありました。今回、この協定を破ったのは警察です。京都大学が「事前通告なしに警察官が構内に立ち入ることは誠に遺憾」とコメントしたのは当然のことです。これに対し、警察の対応は、まるで令状もなく勝手に土足で民家に上がり込んでおいて、家人がこれを取り押さえたら、不当逮捕だ、監禁だと騒ぐようなものです。
学問の自由は憲法23条が定める基本的人権です。公権力である警察は、大学との関係においては、特に学問の自由を尊重しなければならない立場であるにもかかわらず、今回の警察の対応はいかにも姑息で、民主主義国家の警察として恥ずべき行為だと思います。
【関連エッセイ】
偽計業務妨害罪?