ダラスでは、特にmediator(調停人)の方とのミーティングに重点が置かれていました。
以前にも、アメリカでは、裁判外の紛争解決手続(ADR)が広く行われていることを書きました。mediation、日本語にすれば調停もそのADRの一つです。しかし、日本の調停とはいくつかの面で異なっています。
日本の調停は、家庭裁判所で行われる家事調停や、簡易裁判所で行われる民事調停です。いずれについても、調停委員2名が担当しますが、調停委員は裁判官と評議をしながら事件を進行させます。
アメリカでは、日本のように裁判所内にあるmediation centerと、裁判所外で個々の業務としてmediationを行っている弁護士の両方を訪問する機会がありました。
日本の調停との違いは、当事者が合意したmediatorが調停を担当するということです。日本では、当事者が調停委員を選ぶということはありません。また、通常、mediatorは1人で事件を担当します。
優秀なmediatorは評判が広まりますので、裁判所も、弁護士も、どのmediatorが、どの分野に詳しいのかを把握しているようでした。mediatorには統一された国家資格はないとのことでしたが、一定時間以上のトレーニングを受けることが要請されます。裁判所内のmediation centerでは、弁護士や心理学者や、ソーシャルワーカーなどがmediatorに従事しているとのことのでした。
担当するmediatorについて合意する、という段階から、既に紛争解決へのプロセスが始まっているのだと感じました。納得したmediatorであれば、信頼をおいて手続きを委ねることができます。当事者からの信頼を1人で担うmediatorは重責ですが、解決に至るかどうかもmediatorの力量が大きく、なかなか魅力的な仕事であるように思えました。