黙秘を勧める場合

 被疑者が私に対し接見室で事件についてどのように説明するか(自白か否認かなど)はさておき、起訴されることが確実と思われる事件や、起訴されるかどうか分からないが事実関係に争いがあると思われる事件については、ほとんど全て黙秘を勧めるようにしています。理由は、以前、「なぜ黙秘権を行使しないのか」で書いたとおりで、今も変わっていません。

 ひと昔前であれば、このように黙秘を勧める弁護人は「捜査妨害だ」とか「黙秘させて反省させていない」などと非難されることもありましたが、さすがに最近ではそのようなことはなくなりました。捜査段階の弁護活動として広く認識され、限られた範囲では容認されてきたからでしょう。

 ちなみに、「捜査妨害だ」という批判に対しては、様々な科学的証拠を収集することができる昨今、自白に依存する前近代的な捜査手法こそが非難されるべきです。また、「反省させていない」という批判に対しては、密室の取調室での姿だけが被疑者の全てではありません、とだけ述べておきます。

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