弁護士会の会報

 私たちの所属する愛知県弁護士会では、毎月、”SOPHIA”という会報を発行しています。会報は、だいたい50頁から100頁くらいの冊子で、愛知県内の弁護士全員や裁判所、検察庁など限られた範囲に配布されています。

 会報を見ると、毎月、弁護士会でどのような行事(シンポジウム等)や委員会が行われているのかがよく分かります。また、弁護士が直面している問題や関心のあるテーマを取り上げ、意見交換をしたり情報発信したりします。最近では、弁護士の数が急激に増えたため新人の弁護士の就職先が見つからず苦労しているという「就職問題」を取り上げました。また、弁護士会を運営する「副会長」という理事者に焦点をあてた特集を組みました。残念ながら、会報は一般に配布される冊子ではありませんが、一部の記事は、愛知県弁護士会のホームページの「弁護士会ライブラリー」で閲覧することができます。よろしければ、是非ご覧ください。
http://www.aiben.jp/page/library.html

 私は、この会報の編集に携わる委員の仕事を約3年やっています。会報編集委員は、弁護士会が運営している行事をチェックし、その行事に携わっている弁護士に原稿の執筆を依頼します。特集を組むときは、必要な調査を行うため、外に取材に出かけることもあります。また、何人かの弁護士に集まってもらい、座談会を段取りすることもあります。座談会を行うため、場所を確保したりテープ起こしをしたり写真を撮ったりします。

 会報編集委員の仕事はそれだけではありません。締め切りが過ぎても提出されない原稿がある場合には、原稿の催促をします。催促すると慌てて原稿を提出してくれる方もいますが、中には気むずかしい方もいます。原稿の誤字・脱字のチェック(ゲラの校正)も大切な仕事です。原稿を並べる順番を決め、表紙のレイアウトも自分たちで決めなければなりません。

 このように、会報編集委員は、雑誌の記者・編集者と同じような仕事をしています。委員会は毎月3回ありますし、毎日のように何通・何十通のメールや原稿がメーリングリストを飛び交っています。民事事件、刑事事件といった通常の弁護士業務を進めながら、このような編集者の仕事を同時並行でこなすのは、なかなか大変なことです。

 しかし、会報編集委員は確かに大変ですが、仕事に関係する様々な最新の情報に触れることができ、とても勉強になります。また、弁護士は、普段、何ヶ月・何年といった長丁場な事件を扱うことが多いため、会報の編集のように1ヶ月ごとに発行したらそれでおしまいという区切りのある仕事は、良い気分転換になります。弁護士としての一番の喜びは、何と言っても民事事件、刑事事件を通じて依頼者に感謝してもらえたときですが、それとは別に、苦労の末、無事発行された会報を手にしたときの感慨も、またひとしおです。

 委員の任期はあと少しですが、このような楽しい仕事に携わることができ、感謝しています。

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弁護士の会務

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