世界の死刑執行、減少する

 アムネスティ・インターナショナルが昨年の世界の死刑に関する報告書を発表しました。これによると、判明分で23か国・地域で少なくとも993人の死刑が執行され、前年比4%減だったそうです。ただし、この数字には中国における数千件の執行件数は含まれていません。中国では死刑に関するデータが国家機密とされているからです。執行数が多いのは、中国、イラン、サウジアラビア、イラク、パキスタンの順です。

 昨年末の段階で、法律で全ての犯罪に対し死刑を廃止している国は、ギニアやモンゴルが加わり計106か国、事実上死刑を廃止している国を加えると142か国になります。他方、死刑を執行した国は23か国、この中には、もちろん日本も含まれています。国際的に見て、死刑を執行している国が少数派であることは明白です。

 では、死刑存置の代表的な国で、政治、経済、文化の各方面で日本に多大な影響を与え続けているアメリカ合衆国はいかがでしょうか。アメリカの死刑執行はさぞかし多いだろうと思いきや23件です。ただし、日本は4件ですから、人口比で考えてもかなりの数かも知れません。報告書によると、死刑を廃止している州は19、存置している州は31、存置州のうち昨年死刑を執行した州は、テキサス、アーカンソーなど南部の州が中心です。他方、存置州でも、カリフォルニア、コロラドなど11州は10年以上執行がなく、連邦政府は2003年以降、軍当局は1961年以降、一度も死刑を執行していません。アメリカにおいても、死刑は、実は廃止の傾向にあります。

 報告書の中では、日本の死刑執行について、特に、親族や弁護士に事前に知らされず秘密裏に執行している点、再審請求中だった死刑囚に対しても執行がなされたことなどが指摘されています。アメリカは上記のとおり州によって存廃が割れていますので、G8(主要国首脳会議)の中で、国として統一的に死刑を存置しているのは、日本だけです。国際的な観点から、日本の死刑執行は、少数派というだけでなく、かなり異質なようです。

 あなた自身は、と問われれば、私は、死刑は廃止されなければならないという考えです。

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