刑事弁護の「専門」事務所に相談し、あるいは依頼したものの、諸事情により折り合いがつかず、あるいはお断りして、こちらを訪ねましたという方が増えました。以前より、同様の来訪はちらほらありましたが、最近ではすっかり定番になりつつあります。
数年前から、主にインターネット広告で刑事弁護の「専門」を名乗る複数の事務所が登場したことは、漠然と認識はしていました。しかし、過払金回収の「専門」事務所と同様、同じ資格をもつ弁護士とはいえ、自分とは別世界の人達だと思い、気にも留めていませんでした。
しかし、最近の相談は、弁護士費用のオプションが多く合計が高額となるため依頼を断念した、あるいは解約したとか、難しい事件なので「専門」的な弁護を期待したら、自分は経験したことがないと言われ不安になったとか、同業者として見過ごせない話ばかりです。
法律問題に限らず、ある問題が発生したとき、その分野の「専門」の方に依頼したいと考えるのは自然なことです。弁護士をよく知らない方々にとって、「専門」と名乗る事務所の実態を把握することは容易ではありません。この傾向がこれ以上進むと、ますます同種のトラブルが増え、刑事弁護の信頼に関わる事態となり兼ねません。
どの分野も同じだと思いますが、「専門」を野放しにするのではなく、業界全体としてルールを作る時期に来ているのではないかと思います。