弁護士になると、日本弁護士連合会(日弁連)から「弁護士バッジ」を借りて、スーツの上着に付けます。ひまわりの花をデザインした金色のバッジです。正式には「弁護士記章」といいます。バッジの裏側には、その弁護士の登録番号が刻印されていますので、弁護士1人につきバッジは1個だけです。このバッジ、あくまでも借りているだけですから、弁護士を辞めるときには、日弁連に返すことになります。ちなみに、バッジを紛失すると、始末書を提出しなければなりません。
普段、事務所で仕事をしているときには、このバッジを付ける必要性をあまり感じません。身分の確認を求められることがないからです。しかし、法廷に立つときには付けますし、拘置所や警察署に接見に行くときにも、必ず付けます。自分が弁護士であることを知ってもらうには、バッジが一番便利です。たかがバッジですが、弁護士にとっては意外と重要なアイテムです。
ところが、この季節は困ります。何せ、この暑さですから、とてもスーツやジャケットの上着を着ていられないのです。クールビズがだいぶ浸透したおかげで、ノーネクタイ、上着なしの人が多くなりました。暑がりの私には大変嬉しいのですが、問題はバッジをどうするかです。バッジは、どうしても上着に付けるしかないので、バッジ一個のために、暑い中、着もしない上着を持ち歩くことになるのです。どう考えても、合理的ではありません。
以前、実験的に、小銭入れにバッジを入れておいて、入口で身分確認を求められたときに、バッジを印籠のように取り出してみたことがあります。しかし、職員には怪訝な目で見られました。ですから、個人的にはこの方法もNGです。
弁護士の身分を証明するには、バッジの他に、運転免許証のような身分証明書を使うという手もあります。私も、以前、身分証明書を発行してもらったことがあります。しかし、顔写真が入るし、有効期限もあるし、発行手数料もかかるし、何となくバッジに比べてクールじゃないなぁと思って、結局、使わなくなりました。しかし、色々と考えてみると、クールビズの季節、バッジよりも身分証明書のほうが便利ですし、そのうちこちらが本流になるのかも知れません。